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COLUMN

池田公太が注目するサブリース契約のトラブル事例

サブリース契約の実態

賃貸経営がラクにできる、一定の家賃収入が得られるとのうたい文句でオーナーを魅了してきたサブリース(一括借り上げ式)契約。入居数に関係なく月の家賃収入が安定し、賃貸管理業務を業者へ任せることでマンションやアパートのオーナーさんは管理会社に任せておけば契約した年数に合わせて10年、20年先も賃貸収入が得られるメリットがあると周知されてきた制度です。しかしうまい話にはトラブルがつきもので、契約後のトラブルによる相談件数の増加、全国各地のオーナーが集団訴訟で管理会社を訴えニュースに取り上げられる件数が増えたこともあり国土交通省と消費者庁が契約後に実際にあったトラブルの事例とオーナー向けにサブリース契約の際の注意点を公表しました。訴訟の中で管理会社の正当性が認められたもの、オーナーの訴えが通じたものと法による結論はすでにはっきりと出されており、国から示された内容は管理会社とオーナーの両方にしっかり内容を確認し契約を交わすよう注意を促したものになっています。

アパート家賃保証減額の事例では、本来ならサブリース契約した10年、20年の間、アパートの契約状況に関係なく管理会社からオーナーへ賃貸料が支払われるというものでしたが、実際には空室があることを理由に保証されるはずの賃貸料の見直しや、賃貸料の保証を解除されるなどのトラブルがあったといいます。国土交通省と消費者庁が公開している事例でも融資の返済に関するトラブル、不動産会社や金融機関の不正行為、オーナーにとっては不要のカードローン、保険商品等の抱き合わせ販売を勧めたという商品売買に関するもの、契約をしてしまったオーナーが後々困っている内容が目立ちます。

事例の中身について池田公太が注目したのはどれも契約書に書かれている文面の解釈上のトラブルです。「そんなことか」と思われるかもしれませんが、契約の際にはサブリース住宅原賃貸標準契約書という書類とともに管理会社は重要事項の説明をする義務があり、またオーナーも契約書にサインをする前に条件を確認していかなくてはなりません。詳しく事例を見ていくと原因は1つではない気がしますね。では、契約の際に中身を確認しているはずなのにどうしてトラブルになってしまうのか、考察してみたいと思います。

解釈の相違と言葉の難しさ

賃貸マンション、アパートの管理する手間を一定期間不動産会社に委ねるサブリース契約は、管理会社とオーナーが常にwin-winの関係であれば、訴訟問題にもならなかったはずです。話が拗れたのは事例にあった管理会社による契約内容の不履行が原因だとされていますが、表記されている契約内容の理解度とサブリース契約について解釈の相違がトラブルの一因になっているのではないかと池田公太は考えています。

一般的な商品の売買では、売り手と買い手の意思表示が合致することによって法律上の責任が発生する関係を契約としています。買い手がお店で商品を購入するためレジで代金を支払った時点で契約を交わしたことになります。購入した商品に何か不具合があった際には保証書やレシートを(契約)購入した証明書としてお店側に提示しますね。不具合があってもほとんどの場合、証明書があれば何らかの対応があり解決につながります。

目に見えない商品の売買、条件付きのもので思い浮かぶとしたら保険があります。保険は証書と契約書、約款、相互の信頼関係があって商品として成り立っています。契約時に細かい文字でびっしり書かれた約款を証書といっしょに渡されます。今はネット上で電子証書や約款が確認できる時代になっていますが、約款には契約内容、商品についての利用条件が書かれています。契約書よりもむしろ約款のほうが大事で、よく確認しなかった場合、契約していても保険が適用されず「こんなつもりではなかった」というようなトラブルになることがあります。契約書を交わす商品については、大抵の場合売り手側に説明する義務が発生します。日本語の文章には含まれている言葉の意味の守備範囲が広くて、解釈の仕方で意味が大きく変わります。すべてを含むものなのか、ある一定の条件を満たさなければ実行されることがないのか、書き方や説明次第で解釈が分かれるのが日本語の難しいところです。

例えば「家賃収入が契約した20年間は一定で変わることがない」と記されていても、20年後も絶対に満室であるという保証はどこにもなく状況が変われば契約内容も当然見直されます。その文章の中には、このままの状態が維持できているなら、または管理会社が提示する条件をすべて満たしている場合にといった意味が文章に含まれており、オーナーが理解、承知していることが前提になっているものも含んでいます。オーナーになるのならサブリース契約のメリット、デメリットの両方をしっかり勉強しておくこと、解釈の相違を出さないために管理会社から聞かれなかったから答えなかったと言われることがないよう努めなければならないのかもしれませんね。